FIRST TEST DRIVE
夢のEVフィスカー・カルマ登場!
EV車に初めて夢と希望を・・・
2012年年頭、日本にも上陸!
プリウルより燃費がいい
電気自動車の市場はまだ初期段階。とはいえ、今回の地震と津波による原発事故、それに伴う停電で、「電気自動車は大丈夫?」という危惧も出て来るかもしれない。「停電でチャージできなかったらどうするんだ?」ってね。
ところで、メルセデス級の高級感と、BMW並みのハンドリング、マセラティに迫るルックス、そしてプリウスに負けない燃費が誕生した。それが、フィスカー・カルマだ。
現在、電気自動車 (EV)はピュアなEVといわゆるEVレンジ・エキステンダー(プラグイン・ハイブリッド)に分かれている。前者は、80km〜160kmまでの距離をバッテリーの力だけで走る日産リーフやテスラー・ロードスターなど。後者は、バッテリー走行+バッテリーを充電するガソリンエンジンがついているシボレー・ボルトなど。そのエキステンダー付きのEV、フィスカー・カルマに試乗した。
スタイリングは何と元アストンマーチンのデザインチーフ!
LAレースウェイで見たカルマ市販モデルの第一印象は、「アメリカ車でありながら、マセラティ並みの美しさ」で存在感抜群。というのも、ヘンリック・フィスカー社長は名車DB9などを手がけた元アストン・マーチンのチーフ・デザイナーだった人物。07年にドイツ人のバーニー・コーラー氏と組んでフィスカー・オートモーティブ社をカリフォルニアで設立した。彼らのテーマは「環境に優しい高級車」。
さて、そのスペックには驚く。4人乗り4ドアセダンのカルマは403psを発生するけど、プリウスよりCO2排出量は低く、燃費がいい。しかも、電気モードだけで80kmも走行できる!パワートレインは、アメリカ軍用に開発してきたステルス自動車からアイディアを得ている。300kWの電気モーター2基とリチウムイオン・バッテリーパックを搭載する。
これで、ガス欠ならぬ「電欠」の不安が消える
ところで、充電が必要となったら、255psを発揮するGM製の4気筒2.0Lターボ・ガソリン・エンジンが、駆動でなく「発電」に使われる。そこがヴォルトと一番違うところだ。結果として、カルマはエンジンによる充電で400km、つまり、トータルで480kmまで走行可能にしたのだ。つまり、みんなが心配している停電になっても、自ら充電できるっていうことだ。英語で言うとレンジ・アングザエティ、航行距離への不安が解消されるわけだ。
カルマは、セレクターからDを選択すると、自動的にEVステルス・モードに。「スポーツ」を選択すれば、エンジンで発電させることもできる。アクセルをめいっぱい踏み込むと、ブガッティ・ヴェイロンにも迫る最大トルクの1330Nmが発生。加速は爆発的というわけではないけど、充分以上。2トン位の車重だけど、0−100km/hは7.9秒で、最高速度はステルス・モードで155km/hを記録。エンジン作動で充電されるスポーツモードでは、0−100km/hは 5.9秒、最高速度は200km/hに変わる。エンジン作動でバッテリーパワーが2割ほど増すので、よりキビキビに走る。ちょっとエキゾースト音が多少気になるけどね。
ハンドリングはスポーツカー並み!
ロング&ロー&ワイドボディ、ダブル・ウィシュボーンのサスと自動水平リアダンパー、それに47/53の前後バランスのお陰で、コーナーでフラットな姿勢を保ち、フルブレーキングでもノーズダイブはほとんどしない。ステアリングの手応えも良く、ターンインはシャープで正確だ。ハンドリングはとにかくスポーティで楽しい。6ポットのブレンボーがよく効いて、耐フェードも優れている。パナメーラSハイブリッドといい勝負だね。
カルマは、当分フィンランドのポルシェ工場で生産される。つまり製造品質の信頼度は高い。基本価格は$96,000(約800万円)だというのに、すでに3,000台の受注が。2011年頭に日本に上陸する予定だけど、おそらく900万円台になるだろう。フィスカー・カルマ、きっとEV車の概念を覆すに違いない。 室内のトリムまでエコなフィスカー。ルーミーなキャビンは、西海岸の山火事にあった木材を利用する。
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